壁面に植物を生育させることで建物が温まりにくくするのが壁面緑化です。建物が熱くならないことで、エアコンの使用率の減少など省エネ効果が望めます。また、植物による空気の浄化作用や癒しの効果なども期待できます。環境園芸緑地科では、このような環境緑化に関することを学べます。
今回は日研化成株式会社様のご協力を得て本校舎の壁面緑化を行い、その効果がどれくらいあるのかを検証実験してみました。
写真 1
<実験場所の概要>
施工場所:花園本校舎の西側壁面(写真1)
夏場の午後13:00位から直射日光を浴び、西日があたるので室内は灼熱になります。ただしガラス窓には日よけとしてイラストがプリントされたフィルムを貼ってあります。フィルムが貼ってあっても上記の時間帯には室内側の表面温度が50度近くになります。普段はこの壁面にそってある教室ではエアコンの設定温度を他の部屋よりも低めに設定しています。
写真 2
<壁面緑化の施工>
緑化資材
壁面緑化用ネットは日研化成株式会社製のツタネットR (エコマーク認定品リベース糸使用)をご提供いただいたのでこちらを用い、それを支持するワイヤーや留め金類は市販のものと一部自作したものを用いました(写真2)。普通、アンカーボルトを穴を開け埋め込んだりするのですが、今回の施工では壁面や屋上に穴を開けずに行うのを目標にしました。
植物
植物はヘチマをテラコッタ鉢に種子から育てたものを移植しました(5鉢各1個体)。

図1 緑化システムの全体像 写真3 屋上の吊り金具
<植物の生育状態と管理>
今回はヘチマの実を収穫するのが目的ではないことと、植物を移植するのが遅かったことから、窒素肥料を多めにやることでツルと葉の生育を促進させた。しかし、日照条件があまりよくなく、ツルがよじ登るにつれ日照条件の良い方向へ曲がり、ネットに対して均一に生育しなかった。
写真 4 放射温度計
<温度測定の方法>
温度測定(放射温度計)
壁や窓ガラスの温度は普通の温度計では測れません。そこで登場するのが「放射温度計」(写真4)です。省エネの実験などをする環境ビジネス科ではよく使います。この温度計は物体から放射される赤外線を測り、表面の温度を非接触で迅速に測れるのが特徴です。ただし、物体の性質により放射率が違うので、測る物体に応じて補正するか、標準的な放射率を示す黒体スプレーやテープを使用して測定しなければなりません。
写真 5 測定範囲
測定範囲について
緑化した場所を全部は測れないので下の方の約1.4平方mを測定範囲とし、緑化ネットが掛かっている部分(測定区1、赤ライン)、緑化ネットが掛かっていない部分(測定区2、青ライン)の2つの区画を設定しました(写真5)。全測定区の中に黒体スプレーをした測定点を12箇所設定しそこの温度を15分おきに測定しました。
ただし、写真で分かるように植物の生育にかなり「むら」があり、植被率も多いとはいえない状態でした。そのため、植物が測定点を覆って影をつくっているかいないかを測るために、各測定点の相対照度もあわせて測定しました。
写真 6 測定点
測定点
5cm四方、1mm厚の銅板に黒体スプレーをし、裏側に1cm厚の発泡スチロールを貼り付けたものを各測定点に設置しました。これにより測定点が他からの熱の影響を受けずに測定ができます。
測定時間
測定は9月1日の12:00~14:30までの間15分おきに行いました。12:00には測定区全体が陰になっていますが、12:15には全体に光(斜光)があたり始めました。
各測定区の温度差
測定区1(ネット有)と測定区2(ネット無)の各時間における測定点の平均温度を見ると、(図2)最初は日陰であったために温度差はありませんでしたが、日があたり始めるとネット無(赤線)の方が常に温度が高いことが分かります。
測定結果全データを用いて平均値をだすと、測定区1(ネット有)では42.3度であったのに対し、測定区2(ネット無)では49.8度でした。その差は7.5度ありました。
◎植物がまばらでもある程度の壁面緑化による温度上昇の抑制効果があることが分かりました。
写真 7 室内側の様子
参考:室内側の温度
各測定点の裏側付近(室内側)に放射テープを貼り、室内側のガラスの表面温度も測りました。ネット無では平均37.5度、ネット有では34.4度でその差は3.1度でした。ここでもある程度の緑化の効果があると確認できました。
<まとめ>
上記の結果により壁面緑化の有効性が確認できたが、壁面ネットにもっと広範囲に植物が生育していればさらに効果的なデータが得られたと思います。
〒950-0086 新潟市中央区花園1-3-22
Tel:025-247-0011 Fax:025-247-8501
Copy right(C)2004-日本自然環境専門学校 All rights reserved.