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校長室 ~校長の自然探索~ 「ふるさと散歩」

虫たちの音色

 そろそろ夕方になると秋の気配を感じるようになりました。季節の変化に敏感であることは私たち日本人の特質と思えます。 秋を感じさせてくれるものといえば夜になく虫たち。庭の軒先や公園のくさむら。ちょっとした街路樹の植え込みなどでも虫の声が聞こえてきます。 虫の音の代表は鈴虫、キリギリス、コウロギ、ウマオイなどがあげられます。新潟市では海岸に行くとマツムシ、鈴虫の声を聞けます。 これらの声を鳴き声として鑑賞の対象として聞くのは日本人または東洋人だけらしいです。
 日本では少なくとも平安時代くらいから虫の鳴き声の飼育が行われていたといわれます。枕草子にもよき声で鳴く虫として鈴虫、マツムシ、キリギリス、ハタオリなどがあげられています。キリギリスは現在のコウロギにあたるそうです。ハタオリとはたぶんキリギリスの仲間と思われます。バッタのよう長い足を持つものでしょう。時代が下って江戸時代では虫売りが商売として成り立ち、盛んに虫聞きの名所に庶民が訪れたことが記録されています。
 一方、西洋ではこれらの声を雑音(ノイズ)として聞こえるという話を聞いたことがあります。鳥のさえずりは世界共通の良い音色として認識されるのですが、虫はどうやら地域によって違うようです。 日本人は身の回りの生き物に自分の心を投影することをよく行います。和歌にしても俳句にしてもそして多くの庶民の民話にしても多くの昆虫が出てきます。
 少し鳴く虫の句をあげてみると、「 むざんや なかぶとのしたの きりぎりす 松尾芭蕉」「 いとつむぐ 音しづまりて きりぎりす 吉田松陰」「 きりぎりす ひとしたいよる 火影かな 一茶」 良寛も大変たくさんの鳴く虫の和歌を詠んでいます。 秋の野に たれ聞けとてか 夜もすがら 声ふりたてて 鈴虫のなく それぞれの時代に、それぞれの読み人が、それぞれの気持ちを虫に託して詠んだ歌です。その気持ちを私たちも理解できるよう自然を残し、対話できるようにしたいものです。

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