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日本自然環境専門学校

自然環境保全をリードする人材を育てる「環境の総合専門学校」

OBの職場訪問記かが森林組合 編

森林組合に就職

自然環境保全科卒業生、向出さんの職場を訪問してきました。取材先は北陸新幹線の開業で今話題の石川県です。石川県は森林の保全と有効活用に力を入れている先進的な県としても知られています。

  1. かが森林組合について
  2. 加賀森林組合の仕事内容は
  3. 卒業生の活躍
  4. 環境保全と森林整備
  5. 上司の方へのインタビュー
  6. 卒業生にインタビュー

かが森林組合について

かが森林組合は石川県加賀市に本拠地を持つ森林組合です。県内に4つの支所と1つの工場を持ち規模はかなり大きい森林組合です。「もくもく工房」という木工製品を取り扱う場所ではキットを購入するとその場で木工工作を楽しめます。

加賀森林組合中山支所の位置
取材にお伺いした加賀支所の位置

かが森林組合の仕事は

かが森林組合では主に県や市の事業を受託し、業務内容によって下請けの森林組合に仕事を委託しています。その中で、委託業者への指示や指導、監査、工事写真と書類の作成等の仕事がメインで、行政側と現場の調整役としての役割を果たすことが多いそうです。受託する仕事は森林整備や治山事業だそうです。

・森林整備と治山事業

石川県では「いしかわ森林環境税」を導入しており、その税金を使い「環境林」を整備しています。環境林では木材収穫を目的とせず、森の機能を生かす整備をし、環境保全を行っています。

通常の間伐では2〜3割の樹木を伐採しますが、環境林では4割という強間伐を行い、林床に光を通し林床植物の育成を行っているそうです。これが、森林生態系における生物多様性の保全に繋がっています。

林床を彩る花々
明るい林床を好むカタクリ

卒業生の活躍

卒業生が実際にどんな仕事をしているのかを現場に同行させてもらいました。彼が担当しているのは海岸林の松枯れ調査と対策だそうです。

・松枯れ被害について

国内での被害は落ち着いてきていますが、松枯れ被害は完全に収束したわけではありません。写真は同行したときに枯れている松を撮影したものです。

現場で見た松枯れ
林内で点々と枯れて茶色の松が見られた

全ての松を見回り被害の状態を調査し、被害木にはピンクのテープで印をつけ木の状態を記録します。被害が出てしまった木については残念ですが伐倒し、被害拡大を防止するため燻蒸消毒をします。国有林では予防として薬剤の樹幹注入と薬剤散布を行っています。守るべき森林エリアが指定されておりそこを重点的に防除作業を行っています。

松枯れ被害調査の様子
松枯れ被害調査の様子
燻蒸消毒の様子
切った木は薬剤が充満したビニールで覆う
樹幹注入の様子
樹幹に直接薬剤を投与する樹幹注入

環境保全と森林整備

その他の環境保全や野生生物のことについて聞いてみました。

・ナラ枯れについて

山ではナラ枯れ被害も出ていて、3年前から里山のナラ枯れ対策をしています。ナラ枯れの原因は人がナラ類の木を利用しなくなり、伐採しなくなったせいです。特に、老齢のナラが被害に遭いやすいのでこれらを伐採し、キノコ栽培に利用しています。

・猛禽類(鳥)について

近年、猛禽類を中心として野生動物保護に関する規制が厳しくなっています。これは世の中で生態系を配慮した事業が重視されている現れでしょう。例えば、現場で猛禽類が確認された場合、作業を中止したり繁殖時期が始まる前までに作業を終了するというような対応をしています。これからこのような生態系重視の仕事スタイルは増えていくでしょう。

・バイオマスエネルギーの利用

山から得た木材は無駄なく有効利用しています。いままでは捨てるしかなかった部分も、工場でチップ化してバイオマス燃料として出荷しています。出荷されたチップはバイオマス発電の燃料として使われています。山の木が吸収した二酸化炭素をまた燃料として利用し、発生した二酸化炭素はまた山の木が吸収するという地球環境にはとてもよいサイクルになっています。

木質チップ
生産されたチップが大量に保管されている。

上司の方へのインタビュー

●林業を目指す人へのアドバイス

まず一番に必要なのはコミュニケーション。挨拶、受け答えがきちんとできること、地元の人とうまくやっていくことが一番です。お客様が来たら挨拶、電話がきたら電話対応、上司が来たら挨拶をしてください。当たり前のことができるのが重要です。

技術的なところでは、指示役であればパソコンの基本操作は必須ですし、直営班(現場作業員)であれば機械類の取り扱いの資格が重要になります。

●林業のやりがいと大変なこと

山がきれいになると地元の人や観光客からほめてもらえるのがとてもうれしいです。大変なことは新しいことに挑戦するのに苦労することです。たとえば生態系に配慮した事業について最初は抵抗がありましたが、受け入れなければならない時代になってきて、これからもっと増えるのではないかと考えています。

●日本自然環境専門学校について

今まで林業を専門に行う専門学校がなかったので、こんな学校があるんだとおどろいています。私たちが何年もかけて行っていることを2年で学び、組合に入ってくることに脅威さえ感じます。これから動植物や生態系に配慮した事業が増えていくのは間違いないので必要となる学校(の内容)だと思います。

卒業生にインタビュー

質問:仕事について教えてください

自分の仕事は月1回程度マツ枯れ調査し、起案書を作成して上司に報告します。ちなみに起案書はワード・エクセルを使います。パソコンが使えてよかったです。恥ずかしい話ですが、一度マツ枯れ調査をして30本くらいしか見つからず、上司ともう一度調査したら200本見つかり、上司に指導されました。


他の仕事は林道や作業のパトロールや作業現場の進捗確認、測量などもします。作業現場の確認では工事写真を撮影して、専用のソフトで台帳を作ります。

質問:学校の授業で役に立ったことは?

チェーンソーの取り扱いについては授業でやったので直ぐに出来ました。また、森の中で動植物の名前が分かると驚かれます。専門学校では基本的なことでも周りの人が野生生物には詳しくないので自分は分かる方だと思います。鳥(猛禽)についての職場の研修会では学校でやったこととほぼ同じでした。

猛禽類
猛禽類のクマタカ Nisaetus nipalensis

質問:大変なことは何ですか?

仕方のないことなのですが、木材は商品なのでお金の話になってきます。お金にうるさい人との話は少し気が滅入ります。また、学生時代は責任もなく温い生活をしていましたが、いろいろな仕事を任され仕事に対して責任があることを実感しています。

質問:仕事のやりがいを教えてください。

放置された森はすごく暗くてじめじめしています。そこを管理することで明るくなり、林床の植物がどんどん育つのでそれを見ると喜びを感じます。森の環境を守っている実感がわきます。

それと何より上司がとてもよくしてくれるので、仕事に行くのが楽しいと感じます。また、同僚や現場の人もみんないい人でこの職場に就職してよかったと日々感じます。

・上司から向出さんへの一言

向出君ははきはきしていて受け答えもしっかりしています。最初の頃始業時間ギリギリ5分前に出社してきていたので、一度注意したらそれから毎日30分早く来るようになりました。当たり前のことですが、言われたことを当たり前にできるのがよいです。

卒業生
2014年度卒業生
向出 壮さん

編集後記

かが森林組合の方々にはお忙しい中ご対応いただきありがとうございました。本校卒業生が活躍しているのと、上司の方や皆様に大切にされていることが分かり、とても嬉しく思います。

■取材した企業様HPおよび関連リンク

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