
J-eco 鳥のさえずり図鑑
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【声紋付き】鳥のさえずり解説
鳥の鳴き声について詳しく解説するページです。本校の学生が学習できるように制作してあります。スペクロトグラムによる声紋の特徴も掲載しています。スペクロトグラムの画像はフリーソフト、Audacityから引用しています。
間違えやすい声:似ているさえずりを持つ鳥と、本校の学生が間違えやすい鳥を基にしています。
レア度:新潟市近郊で見られる種をもとに、珍しさを★で表しています。
★ :住宅地や公園などでよく見られる鳥。
★★ :里山や森で見られる鳥。初心者から一歩進んだ種類。
★★★ :あまり聞く機会がないやや珍しい鳥。鳥類研究室はここまでわかるようになりましょう。
★★★★ :渡りの時期などに稀に見られる鳥、または限られた環境にいる鳥。
★★★★★ :新潟ではまず見られない種、もしくは迷鳥のレア種。
※解説中に出てくる自然公園とは、都市部にある規模の大きな自然公園です。
カラス科
カケス

「ジャージャー」と、かなり濁った声を出します。 カラスの仲間ですが、カラスよりかなり濁った声なので聞き分けることは難しくありません。ただし鳴き真似の達人で他の鳥と惑わされることがあります。
声とは反対に?姿はかなか美しいです。アイスブルーの瞳、青と白、黒のグラデーションの羽を持っています。珍しい鳥ではないのですが、なかなか姿を見せてくれません。
レア度: ★★オナガ

「ゲーイ、ゲイゲイ」と特徴的な鳴き方をします。最初「ゲーイ」と伸ばす事が多いです。カラス科らしい濁った声を出しますが、ハシボソやハシブトと比べると野太さがなく軽い感じなのと、鳴き方が特徴的なのであまり間違えることはありません。
名前の通り尾が長く、黒い帽子、水色の羽となかなかおしゃれな姿なので通常のカラスより人気です。新潟では珍しくない鳥ですが、西日本から来る人に珍しがれます。 向こうではややレアな鳥のようですね。
レア度: ★★ハシボソガラス

よく聞くカラスの声ですが、聞き比べると違います。ハシボソガラスは「ガァ、ガァ」と濁ります。ハシブトガラスは「カァ、カァ」と濁りません。ただしハシボソガラスも色々な声を出すため、確実なのは姿を確認することです。
※後ろで鳴いているのはウシガエルです。
レア度: ★ハシブトガラス

ハシブトガラスはハシボソガラスに比べると澄んだ声です。声紋を見ると周波数が低い位置で線状になっています。ハシボソガラスの声紋を見るとこの線がもっと薄くて広がっています。くっきりした線だと澄んでいて、はっきりとした線がなく上下に広がっていると濁った声になるため、ハシブトとハシボソの特徴がよく分かります。
レア度: ★リュウキュウハシブトガラス

リュウキュウハシブトガラスは奄美大島や沖縄本島などに生息しているハシブトガラスの亜種です。データは奄美大島で録音したものです。本土のハシブトに比べると少し声に丸みがあるかな?と思います。
ハシブトガラスに比べると少し小さいです。おでこのでっぱりも控えめで一見ハシボソガラスのように見えます。ただし奄美以南にはハシボソガラスは分布していないようなので、出会うカラスはすべてハシブトガラスだそうです。

民家近くにいたリュウキュウハシブトガラス。やはり嘴が太いですね。
レア度: ★★★★★ 奄美大島、沖縄本島など
オサハシブトガラス

オサハシブトガラスは八重山諸島に生息しているハシブトガラスの亜種です。本土のハシブトガラスに比べると体が2周り位小さく、ごつさもないため、かわいらしく見えました。
声は本土のハシブトガラスに比べると高いように聞こえます。

警戒心が薄いオサハシブトガラス。かわいらしい体系。
レア度: ★★★★★ 八重山諸島のみ
シジュウカラ科
コガラ

「ツピーツピー」とゆったりとした美しい声で鳴きます。シジュウカラよりも高く、ゆっくりで少し力が抜けたようなさえずりです。
カラ類の中で一番観察しにくく、さえずりもあまり聞くことがありません。 新潟には個体数が少ないのでしょうか?
レア度: ★★ヤマガラ

ヤマガラはカラ類の中では一番聞き分けがしやすいです。「ツツピーー」と最後を伸ばすのがポイントです。また、声が少し濁っているのもポイントで、「ツツ」の部分の波形(6Khzくらいの高さ)の幅が広くなっています。(澄んでいる声ほど波形は線状になります)
シジュウカラと同じくらいよく観察できます。カラ類の中では体が一番大きく、オレンジ色(赤茶)なので見わけもしやすいです。
レア度: ★ヤマガラ地鳴き

ヤマガラの地鳴きは分かりやすいので、カラ類の地鳴きを覚えたいなら最初に覚えやすい地鳴きです。「ニーニーニー」(ニに濁点)や「ジージージー」という声で鳴きます。
レア度: ★ヒガラ

カラ類の中で最もテンポが速く鳴きます。 シジュウカラより高くて繊細な声で「ヒツピヒツピ」と、2音か3音で鳴きます。
針葉樹に好んで生息しています。標高が高くなるにつれ聞く機会が増えます。シジュウカラよりは遭遇率は低いですが、コガラよりは多いです。シジュウカラ科の中では一番小さいです。
レア度: ★★シジュウカラ

「ツピツピ」と明るく朗らかに鳴きます。シジュウカラ科はみんな声が似ていますが、この一番よく聞けるシジュウカラの声を基本として、「シジュウカラより早い・遅い」や、「高い・低い」などを比較していくのがよいと思います。
シジュウカラは「ツピツピ」を基本としますが、「ヒツピヒツピ」などと3音で鳴いたりするので、声質とスピードがポイントになってきます。
※最初の1秒はキバシリの声
レア度: ★カラ類の聞き分け方
声の高さ:コガラ ≧ ヒガラ >シジュウカラ >ヤマガラ 低い
スピード:ヒガラ > シジュウカラ >ヤマガラ > コガラ ゆったり
力強さ:シジュウカラ >ヤマガラ > ヒガラ >コガラ 弱い
透明感:ヒガラ ≒ コガラ >シジュウカラ >ヤマガラ 濁っている
<聞き分けメモ>
シジュウカラ:スタンダードな声。元気。力強い。
コガラ:癒し系。他のさえずりにかき消されそう。
ヒガラ:せわしない。ちょっと寂しそう。
ヤマガラ:少し濁っている。最後伸ばすのがポイント。
イシガキシジュウカラ

石垣島で録音した亜種イシガキシジュウカラです。本土のシジュウカラよりだいぶ濁ったような声ですね。グロージャーの法則にしたがい、体色が濃くて胸のネクタイも太かったです。

ネクタイが極太!石垣島で撮影。
ヒバリ科
ヒバリ

飛びながら複雑な声でさえずりますが、地上でもさえずるようですね。畑や草原などの開けた空間でさえずっているので見つけやすいです。また夏鳥が来る前の3月からさえずっているので目立ちます。6、7月くらいになると幼鳥も多く目にできます。
どちらかというとさえずりより姿の識別の方が難しく、冠羽を寝かせているとタヒバリと見間違えることがあります。
レア度: ★
ツバメ科
ツバメ

キッキッという鋭い声が入り、複雑な言い回しをします。聞きなしは「土食って虫食ってしぶーい」 です。声紋は4.5秒くらいからが「しぶーい」の部分です。
日本では夏鳥です。人が暮らしている場所でしか営巣しないと言われ、建造物に巣を作っています。子育て上手なツバメは春夏で2回子育てをします。
レア度: ★イワツバメ

ツバメのような「キッ」という鋭い声はあまり入っておらず、「ビュル」という声が多く入ります。これは飛んでいるイワツバメの声を録音しました。
イワツバメは本来崖に営巣するそうですが、コンクリートでできた橋の下に集団で巣を作っているのをよく見かけるようになりました。たまに街中のバイパスの下でも巣を見かけます。
レア度: ★★
ヒヨドリ科
ヒヨドリ

どこにでもいるヒヨドリの声です。名前の通り「ヒーヨ」と鳴きますが、意外とパターンが多いです。
適応力が高く、どこにでも生息しています。
レア度: ★イシガキヒヨドリ

西表島で録音したヒヨドリです。声は本土のヒヨドリとそんなに違いがないように感じます。見かけは本土のヒヨドリよりイシガキヒヨドリ の方がだいぶ濃く、赤茶の色が目立ます。

西表島で撮影。お腹がが赤い!
ウグイス科
ウグイスさえずり

鳥に詳しくなくとも、ウグイスの声は知っているという人が多いくらい、有名な鳴き声です。「ホーホケキョ」 が「法、法華経」という聞きなしだというのも有名です。
ウグイスの声はどこにいっても聞くことができ、平野から亜高山まで幅広く生息しているのが分かります。藪を好みますが、藪の中の木に止まっているイメージです。てっぺんではなく、途中に止まっていてなかなか見つけにくいです。
レア度: ★ウグイス地鳴き

地鳴きというのはは分かりにくいものですが、ウグイスの地鳴きはよく聞く機会があるので覚えたいですね。 冬の時期に藪から「ジッ、ジッ」という声が聞こえたらウグイスの可能性が高いです。相変わらずなかなか姿は見えません。
レア度: ★ウグイス谷渡り

ウグイスのさえずりは有名ですが、意外とこの谷渡りは知らない人が多いようです。この声は警戒音と言われています。「ホーホケキョ」の「ケキョ」をずっと繰り返すようなイメージです。
レア度: ★ヤブサメさえずり

日本で聞ける鳥では最も高い声でさえずる鳥ではないでしょうか。「シリシリシリシリ・・・」と高い鳴き、声紋を見ると7Khzと15Khzの2重和音になっています。また、最初の声は小さくてだんだん大きく、高くなっているのが分かります。
ヤブサメは新潟では夏鳥です。藪にいるのでなかなか姿は見えません。ウグイスよりも山に近い環境にすんでいて、ウグイスよりも低い場所(木の下の方)にいるイメージです。
聞き間違える鳥はいませんが、最初は虫だと思い気が付かないことが多いようです。
レア度: ★★ヤブサメ地鳴き

「ジジジ・・・」と早口で鳴きます。 地鳴で地味でなかなか難しいですが、地鳴きの後にさえずりが聞けたら確実ですね。また、地鳴きが聞こえる位置も大事です。木の上の方なのか、下の藪の中からなのかで絞ることもできます。
レア度: ★★
エナガ科
エナガ

「ツィー」という高い声に、「ジュルルル」と鎖がすれるような声が入るのが特徴です。声がすれば比較的見つけやすく、観察しやすいかわいい小鳥です。 尾が長いのも特徴です。
日本では留鳥で平地から森林まで広い環境で見られるようですが、シジュウカラに比べるとはるかに遭遇率が低いです。個体数が少ないのでしょうか?
レア度: ★★
ムシクイ科
オオムシクイ さえずり

「ジジロ、ジジロ」と合間に「ジッ」という声が入るのが特徴です。渡りの時期に林や自然公園よく聞けます。
以前はメボソムシクイの一種とされていたのですが、現在はオオムシクイに独立しました。 以前録音したメボソムシクイのデータを聞き直してみたら、ほとんどがオオムシクイということが分かりました。渡りの時期に新潟の平野部を通過して鳴いているのはほとんどオオムシクイなのではないでしょうか。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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メボソムシクイ: | 非常に似ていますが、聞き比べると確かに違いがあることが分かります。 メボソムシクイは「ゼニトリゼニトリ」とオオムシクイより高い、鈴のような声で鳴きます。オオムシクイの方が太い声でしっかりとした声で鳴きます。 |
メボソムシクイ

「ゼニトリゼニトリ(銭取り)」と鳴きます。 オオムシクイに似ていますが、オオムシクイより高い声で、か細く寂し気な声で鳴きます。
亜高山帯で繁殖を行うため、この声を聴くのはもっぱら高山実習先です。渡りの時期にももしかして平野で鳴いてるのかもしれませんが、聞いたことがありません。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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オオムシクイ: | メボソムシクイは亜高山帯で繁殖しさえずります。オオムシクイは北海道で繁殖し、新潟では渡りの時期で平野部でさえずります。ほぼ環境で絞り込みができそうですね。 |
エゾムシクイとセンダイムシクイ

前半がセンダイムシクイで「チヨ チヨ ビィー」が「焼酎いっぱいグィー」に聞こえる=聞きなしでさえずります。最初は早口でつぶやき、グィーは結構長めに鳴くので分かりやすいです。
後半はエゾムシクイで聞きなしは「日月、日月」。神秘的で高い声、少しキンキンするような声でさえずります。エゾムシクイの声が聞けたときはなんとなくラッキーな気分になります。
ムシクイ類は外見はそっくりですが、鳴き声はかなり違います。 2種類とも夏鳥ですが、J-eco生が聞くのは渡りの時期の平野や山のふもとで聞く声でしょう。ですので4月と5月にしか聞けないイメージです。
レア度: ★★センダイムシクイ(特殊)

ずっと分からなかったこの声ですが、日本野鳥の会の方よりご協力をいただき判明しました!ありがとうございます。
この声はセンダイムシクイの声で、まれに聞かれる特殊声だそうです。色んな声を聞きましたが全く分からず、どれにも似ていないので頭を悩ませていました。センダイムシクイの「チヨチヨ」の部分がゆっくりになったようないイメージでしょうか。大変勉強になりました。
レア度: ★★★★(特殊声)イイジマムシクイ

オオムシクイやメボソムシクイを基本とするようなさえずりです。「ツイツイ・・・」と高い声と「チュピー、チュピー」としっかりした声でさえずる場合があるようです。声紋も波の形が変わります。
最初は別の種類?2個体同時に?鳴ているのかと思っていましたが、1個体のさえずりが途中から声の質が変わるのかと思います。別の個体が返す「鳴き返し」も、こだまのように同じ鳴き方を返しますね。
伊豆諸島周辺で繁殖する夏鳥です。このデータは八丈島で録音しました。
レア度: ★★★★★ 伊豆諸島周辺
メジロ科
メジロさえずり

「チュリチュリ・・・」と少し、寂し気で気弱な感じで鳴きます。
平地のいろんな場所に生息しており、特に桜の時期に桜の木に集まって桜の蜜を吸います。 この時期に木の上からか細い声が複数聞こえたらメジロの可能性が高いです。
レア度: ★間違えやすいさえずり | |
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シジュウカラ: | 一見シジュウカラのようにも聞こえます。シジュウカラの方がはっきりと元気に「ツピツピ」と鳴きます。メジロの方が大人しめに「チュリチュリ・・」と鳴き、シジュウカラより複雑です。 |
センニュウ科
エゾセンニュウ

聞きなしは「テッペンタケタカ」で、ホトトギスを短くしたような感じです。
エゾセンニュウは北海道で夏鳥、新潟は渡りの時期にまれに観察されます。しかしあまり鳴かないうえに藪に潜んでいるので、なかなか姿を見ることができません。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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ホトトギス: | 初めて聞いたときはホトトギスと間違えるかもしれません。ただ、ホトトギスよりも短く詰まったようなさえずりなので、ホトトギスの声を覚えていれば聞き分けはさほどは難しくありません。 |
ヨシキリ科
オオヨシキリ

ヨシ原の代表種で、ヨシ原があると必ずと言っていいほど聞くことができます。聞きなしは「仰々しい(ぎょうぎょうしい)」です。
ヨシのてっぺん近くでさえずっていることが多いので、声を頼りに探すと見つけられます。 逆に鳴いていなくて冠羽(頭のぼさぼさ)をぺったんこにしていると地味で分かりにくくなります。口の中がオレンジなのが見分けのポイントの1つです。
レア度: ★コヨシキリ

コヨシキリのさえずりはオオヨシキリに似ていますが、オオヨシキリよりも複雑な声をしていて色んな声が入ります。 声紋を比べても色々な波が入っているのが分かります。
オオヨシキリよりも珍しいコヨシキリ。生息地もオオヨシキリに比べかなり狭いようです。生息地ではオオヨシキリと同じく、ヨシの上の方に止まっているので見つけやすいです。 口の中は黄色です。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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オオヨシキリ: | オオヨシキリは少しうるさい感じがしますが、コヨシキリは少し大人しめ。さえずりもコヨシキリの方が複雑できれいです。 |
レンジャク科
ヒレンジャク

ヒレンジャクは冬鳥で、見られるときは集団で観察できます。「ヒー、ヒー」というか細い声で鳴きます。
毎年ふつうに見られる人、何年かかっても見られない人がいるようです。
レア度: ★★★
ゴジュウカラ科
ゴジュカラ さえずり

ゴジュウカラのさえずりは「ピュー、ピュー」や「フィー、フィー」のような口笛を吹くような声で鳴きます。他のサイトやyoutubeなどの動画で聞くと柔らかい感じの声ですが、この個体は力強く、アオゲラにとても似ていますね。
※これはゴジュウカラのさえずりの様子を撮影した動画データから抜き出したものなので、確実にゴジュウカラです。
実習先では出会うことは少ないです。図鑑には平野部にも生息と書いてありますが、この辺りではやや山奥に行った方がよく見れます。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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アオゲラ: | アオゲラも同じような声を出します。 アオゲラの方が低く、「ピョー、ピョー」と声が抜け切るような感じで鳴きます。 |
キバシリ科
キバシリ

キバシリのさえずりはなかなか聞く機会がありません。さえずる期間が1月からと早く、しかも5月上旬位までしか聞けないイメージです。夏鳥たちが渡ってきてさえずる前に聞くのが一番聞き取りやすいですね。
なかなか地味な鳥で開けたところに出てこず、さえずりも小さいので生息に気が付きにくい鳥です。ただ、意外と身近な場所にもいて、自然公園などでも目撃談もあります。 近くにエナガやカラ類がいることが多いです。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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ミソサザイ: | ミソサザイのさえずりに似ていますが短いです。図鑑にも「ミソサザイを短くしたような声」と書いてある場合があり、その通りのイメージで鳴きます。またミソサザイにようなパワフルさもあまりないです。 |
ミソサザイ科
ミソサザイ

ミソサザイは小さい体の割に、とても大きく美しい声でさえずります。金属的な声で、1フレーズが4秒近くと長いのが特徴です。個体間のさえずりの違いがほとんどないので判定しやすいです。
渓流沿いの林や森にすんでいて、小川が近くにあるような山道でよく聞けます。亜高山にもすんでいて、高山実習先でもよく聞けます。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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オオルリ: | 山で渓流沿いということで生息環境が似ていて美しい声のため、初めて聞く人はオオルリと間違えることがあります。ミソサザイは早口に鳴いて1フレーズが4秒ほどですが、オオルリは伸びやかに鳴き、1フレーズは2~3秒です。 |
キバシリ: | キバシリはミソサザイを短くしたようなさえずりです。ただ、ミソサザイをキバシリと間違えるというより、キバシリをミソサザイと間違えることが多いです。 |
ムクドリ科
ムクドリ

大抵数羽から群れで行動しており、「ギュルギュル」という声を出します。オレンジ色のくちばしと足がおもちゃのようで、しぐさもかわいらしいです。
しかし最近、各地で騒音問題になっており、ねぐら入りするときが非常にうるさいです。学校近くでは新潟駅前の通りの街路樹、またはイオンモール新潟南横の街路樹に集団でねぐらを作っています。
レア度: ★コムクドリ ぐぜり

コムクドリは白っぽい顔につぶらな瞳、赤茶色のほっぺ、青緑色に反射する羽を持っているきれいな鳥です。森というより河畔林や海岸林などの林で多く見られます。
ムクドリと声が似ているのですが、コムクドリの方が色んな声を出して、たまにきれいな声も入ります。ぐぜりとさえずりの違いは少し難しいですね。
レア度: ★★
ヒタキ科
マミジロ さえずり

マミジロは新潟市近郊では珍しく、春と秋の渡りの時期しか見ることができません。見れる時期には自然公園や庭先などに現れることがあります。見れたらラッキーな鳥です。
さえずりはクロツグミに似た「キョロ、ツィー」という声ですが、クロツグミよりかなり短く詰まった感じです。
間違えやすいさえずり | |
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クロツグミ: | 声質は似ていますが、クロツグミの方が1フレーズが長く、バリエーションも多いです。 |
アカハラ: | 声質や鳴き方がさらに似ています。アカハラの方が抑揚がなくさみしげに、マミジロの方が元気に聞こえます。1フレーズの長さもアカハラは「キョロンキョロン」と2音続くことが多いのですが、マミジロは「キョロ、ツィー」と1音が多いです。 |
トラツグミ さえずり

※声紋を比べやすいように空白をカットしてあります。
「ヒー」という声を、低い音(2kHz)と高い音(4kHz)で繰り返す不思議な鳴き声です。他に似ているさえずりがないので間違えないと思います。
夜行性の鳥で主に夜の森でさえずります。夜の真っ暗な森で響いているとちょっと不気味です。夕方や午前中でも聞くことがあります。あまり知られていない鳥ではありますが、山に行くと結構鳴いています。
レア度: ★★クロツグミ さえずり

▲5秒過ぎの声紋が「トリル部」
鳴きまねをすることで有名なクロツグミ。実にさまざまなレパートリーを持っています。前半はよく通る声で鳴く「ホイッスル部」、後半は声音が抜けたような「ツィー」とかすれた声で鳴く「トリル部」(5秒過ぎから)の2部構成です。
少し野太い声の「キョロンキョロン」という声質がポイントで、この声質を覚えれば、さまざまな声を出していてもすぐに分かります。
また、「ツグミ類(アカハラ、シロハラなど)」なのか「ヒタキ類(オオルリ、キビタキなど)」なのかを判断するとき、このクロツグミの声は「ツグミ類」の声が指標となるのでまず初めて覚えてほしいです。
実習先では森に行くと必ずと言っていいほど鳴いています。屋敷林や河畔林でも声が聞こえるので意外と生息環境は広そうですね。
レア度: ★★間違えやすいさえずり | |
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オオルリ: | 1年生が最初よく間違えます。クロツグミの方が低くて野太く、オオルリの方が高くて澄んでいます。 |
アカハラ: | 同じ属なだけあって声質は似ていますが、アカハラの方が抑揚がなくさみしげに聞こえます。またアカハラの方が1フレーズが短いです。 |
ガビチョウ: | 新潟ではほとんど記録はありませんが、少しずつ入ってきているようです。クロツグミよりやかましい感じで抑揚も大きいです。 |
クロツグミ 地鳴き

地鳴きは「ツィーツィー、キョキョキョ」などと鳴きます。「ツィー」という部分はツグミ系がよく出す地鳴きですが、「キョキョキョ」という部分がクロツグミの声質の特徴が出ています。
ガビチョウ?

このさえずりは学生が千葉県で録音してきたものです。声質はオオルリに近いけど、オオルリにしては騒がしい感じだし、クロツグミにしては声が高いようです。さえずりも非常に長く、1フレーズが10秒もあります。
色々調べた結果、ガビチョウが一番近いということになりました!ポイントは1フレーズが長いことです。クロツグミをやかましくしたイメージでしたが、このようなオオルリのような声も出すのですね。
レア度:? 特定外来生物アカハラ さえずり

アカハラは渡りの時期では自然公園や庭でも観察できます。繁殖期では高山実習のさいに亜高山付近で観察できます。薄明薄暮性なのか、 さえずりは夕方と朝方に聞くことが多いイメージです。
さえずりは「キョロン、キョロン、ツィー」とキョロンを2音続けてさえずることが多いです。声質はクロツグミに似ていますが、クロツグミより抑揚がなくさみしげに聞こえます。
レア度:★★★間違えやすいさえずり | |
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クロツグミ: | アカハラよりも元気で1フレーズが長いです。クロツグミの方がよく耳にします。 |
マミジロ: | アカハラよりも元気で1フレーズが短いです。クロツグミよりも似ているので注意が必要です。 |
ツグミ ぐぜり

▲チュンチュンははスズメ
ツグミは冬鳥であるため、さえずりを聞く機会がほとんどありません。このデータでは4月23日とやや遅い時期なためか、ぐぜりの録音ができました。
クロツグミやアカハラなどの「キョロン」という声に似ていますね。
レア度: ★★★(ぐぜりのレア度)ツグミ 地鳴き

こちらが冬によく聞くツグミの声。「ズィーズィー」という地鳴きです。
公園、庭、畑や田んぼ、しかも地面にいることが多いので、下の方から聞こえてくること多いです。家の中にいても聞こえるくらい身近な鳥です。
レア度: ★コマドリ

日本三鳴鳥のコマドリ。「ヒンカラカラ・・・」という美声でさえずります。声紋をみると、「ヒン」の部分は横にまっすぐの線状、「カラカラ」というふるえる部分は4kHz~6kHzを行き来する波状にになっていますね。
新潟市周辺は、渡りの時期に平地や自然公園でも見ることができます。渡りの時期を過ぎると、亜高山帯で繁殖を行うので、高山実習先である白馬でよく聞けます。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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コルリ: | コルリには前奏が入ることで区別できるといわれますが、遠くにいると前奏が聞こえません。しかしコマドリよりもコルリの方がバリエーションが多いように聞こえます。 |
タネコマドリ

タネコマドリはコマドリの亜種で、伊豆諸島では留鳥です。このさえずりは八丈島で録音しました。普通のコマドリのさえずりとはあまり違いがないように聞こえました。
八丈島では山奥に行かなくとも、道路から入ってすぐの林や薮の中からタネコマドリの声が聞こえました。
レア度:★★★★★ 伊豆諸島、種子島、屋久島アカヒゲ

日本の固有種で南西諸島でしか見られないアカヒゲです。コマドリの声質に似ていますが、本土では全く聞いたことがない声だったので感動しました !
このデータは実習で奄美大島に行ったときに録音したものです。この日は雨でなかなかさえずりも聞こえず、諦めかけていたところアカヒゲが目の前にやってきてくれて興奮したことを覚えています。

その時撮影したアカヒゲ。雨で暗くブレブレでした。
レア度: ★★★★★ 南西諸島ノゴマ ぐぜり

日本には北海道に夏鳥として訪れます。新潟では渡りの時期にまれに見ることができます。このデータは、自宅の庭で聞きなれない鳥の声が聞こえたので、慌ててカメラの動画機能で録音したものです(なので音質があまりよくない)
数日後、庭で草むしりをしていたらノゴマが出てきて驚きました!あの声はこの子だったのか!と。このノゴマは2週間くらい我が家の庭にいてくれました。

庭にノゴマがいる素敵な生活でした。
レア度: ★★★★間違えやすい声 | |
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コサメビタキ: | コサメビタキのぶつぶつ声にも似ています。コサメビタキの方が複雑で金属的な声や「ツィー」という細い声が入ります。 |
コルリ

さえずりはコマドリに似ていますが、青い小鳥のコルリです。声紋を見ると、1.0秒前後に2回前奏が入っているのが分かります。
新潟市周辺は、渡りの時期に平地の自然公園でも見ることができます。その後は標高が高め(亜高山より低いくらい)の山地で見ることができます。
録音データは佐渡のドンデン山で録りました。佐渡は本土に比べると標高が低い場所でも亜高山帯やその付近の標高に生息している鳥が観察できます。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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コマドリ: | コルリには前奏が入りますが、コマドリは前奏が入りません。前奏が入るかどうかしっかり聞くのが確実です。 |
シマゴマ
数少ない旅鳥として日本海側に渡来するようです。さえずりは「ビュルルルル・・・・ 」と元気がないコマドリといった感じで、音量も大きくないためなかなか録音できません。ただ、一度このさえずりを覚えると、渡りの時期に意外と聞く機会があるなと感じます。
※録音データからでは声紋が上手く検出できなかったため、掲載していません。
レア度: ★★★★間違えやすいさえずり | |
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コマドリ: | 近くでさえずりを聞ければ間違いにくいですが、遠くのさえずりだとコマドリと判断が難しいです。コマドリより元気がくさえずりが長い、がポイントです。 |
ルリビタキ さえずり

▲見やすいように空白部をカットしてあります。
姿も声も美しいルリビタキ。短い前奏のあと、「ヒリヒリ・・」とやや寂しげな感じで鳴きます。
渡りの時期は低山や平地で、繁殖期には亜高山帯で見られます。高山実習の白馬で聞けますが、このルリビタキとメボソムシクイが一緒に鳴いていて、学生はどちらのさえずりなのか混乱しがちです。
レア度: ★★★間違えやすいさえずり | |
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メボソムシクイ: | 同じ環境で繁殖し、同時に鳴いていることが多いので学生が間違えやすいです。メボソムシクイは「ゼニトリ、ゼニトリ」と鳴き、後半にかけて声が大きくなります。 |
ルリビタキ 地鳴き

高めの声で「ヒッ、ヒッ、ヒッ」と鳴きます。ジョウビタキの地鳴きと区別が難しいです。この声を頼りに本人(本鳥)を探しにいくのが一番ですね!
ジョウビタキ 地鳴き

ジョウビタキは冬鳥のため、基本的には地鳴きのみが聞けます。鳴き声は金属的な声で「ヒッ、ヒッ、ヒッ」と聞こえます。
声紋を見ると5kHz、10kHz、15kHzときれいな和音状になっています。 ルリビタキの地鳴きとよく似ていて聞き分けが難しいですが、ジョウビタキの方が金属的で少し高いでしょうか。
レア度: ★★イソヒヨドリ

イソヒヨドリは美しいさえずりを持っている留鳥です。声紋を見て分かる通り、非常に複雑なさえずりです。
「イソ=磯」と名前が付くように、海沿いに行くと必ずと言っていいほど見かけます。 海から数キロ離れていても見かけることもあり、繁殖場所を広げているようです。本校の弁天橋実習場でも見かけることがあります。
レア度: ★★間違えやすいさえずり | |
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オオルリ: | 声質が少し似ています。生息環境が違うため、あまり間違うことはなさそうです。オオルリの方が伸びやかでゆったりしています。 |
クロツグミ: | こちらも声質が似ています。イソヒヨドリの方が複雑な鳴き方をしています。 1フレーズもイソヒヨドリの方が長いですね。 |
コサメビタキ さえずり

コサメビタキは渡りの時期、4月5月によく観察できます。声が小さく、ぶつぶつとつぶやくように、いまいちはっきりとしないようなさえずりです。最初は気が付かない人がほとんどです。
比較的見つけやすい枝などに止まっているため、探すと見つけやすいです。
レア度: ★★キビタキ さえずり

明るい森に行くと必ず聞けるキビタキのさえずりです。最初に前奏が入ることが多いです(声紋例のさえずりは前奏がないようです)。早口で短いフレーズを繰り返します。
キビタキは個体によってさえずり方が異なりますので、最初はいろんなさえずりを聞くことをおすすめします。慣れるとこの声質とテンポの良い鳴き方で分かります。
レア度: ★間違えやすいさえずり | |
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オオルリ: | 声質が似ていることと、たまに伸びやかに鳴くキビタキがいるので間違えることがあります。オオルリは伸びやかで、毎回微妙にさえずり方が異なりますが、キビタキは規則正しく同じフレーズを繰り返えします。また、オオルリは最後に「トリル部」を持っていて「ジジッ」という濁った声を入れますが、キビタキはこのトリル部はありません。 |
キビタキ 地鳴き

「ヒッヒッヒ」の間に 「ビュルルル」という声が入ります。ただ、ヒタキの仲間は多くの種が「ヒッヒッヒ」という地鳴きになりますので、姿を見るのが確実です。
ムギマキ

姿はキビタキに似ていますが、さえずりはキビタキにはあまり似ていないようです。跳ねるようなさえずりはホオジロ科の鳴き方に似ているようにも感じます。
新潟市周辺は、渡りの時期に平地や自然公園でも見ることができます。この音声データは、姿を確認しながらカメラで録画しました。
レア度: ★★★★オオルリ

日本三鳴鳥の1種であるオオルリ。その声はとても澄んでいて美しいです。歌うように伸びやかに鳴くのが特徴で、歌い方が毎回変わります。クロツグミと同じように最後に「ジジッ」という「トリル部」が入ります。
オオルリはメスもさえずるという珍しい生態があります。メスの方が1フレーズが短く、尻下がりなイメージです。 一覧表のメスは、姿を確認して録音したものです。
新潟市周辺では特別珍しい鳥ではなく、森に行けば必ずと言っていいほど聞くことができます。学生にはぜひ覚えてほしいですね。
レア度: ★★間違えやすいさえずり | |
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クロツグミ: | クロツグミの方が低くて野太く、オオルリの方が高くて澄んでいます。1年生が最初よく間違えます。 |
キビタキ: | 声の質が似ていますが、キビタキは短い前奏が入り、そのあとも早口で同じフレーズを繰り返えします。 こちらも1年生がよく間違えます。 |
スズメ科
スズメ

なじみ深いスズメの声は、鳥に詳しくない人でも聞いたことがあるはずです。しかし家屋の変化からスズメの数は激減しているといわれています。新潟市周辺ではそのような変化は感じられないようです。
レア度: ★
セキレイ科
キセキレイ

キセキレイは普通種(ハクセ・セグロ・キセキ)の中では一番澄んでいて声が高いです。声紋も6~7Khzです。また、キセキレイはこの3種の中で一番上流にすんでいて山のふもとでよく観察できます。高山実習先でも観察できます。
セキレイ類は開けた場所にいて、姿を確認しやすいのであまりさえずりで識別することはないのですが、よく聞くと声質に違いがありおもしろいです。
レア度: ★★ハクセキレイ

ハクセキレイが最も目にする機会が多いので、よく聞く声ではないでしょうか。キセキレイに比べると少し低くて濁っているのが分かると思います。
農耕地や草原、駐車場など広い場所で観察できます。スマートな体形代表の「ものさし鳥」です。
レア度: ★セグロセキレイ

ハクセキレイにそっくりですが、ハクセキレイよりもしっかりした声でさえずります。 この子は電線に止まってさえずっていました。
ハクセキレイを見てもセグロセキレイと間違える学生が多いです。 ハクセ(白背)でもセグロ(背黒)でも背中が黒いせいですね。実際は背中の模様ではなく、顔の模様で見分けます。
レア度: ★